月100時間残業しても、会社は潰れた

「もっと頑張れば、会社は良くなる」
昔の私は、本気でそう思っていました。
残業を減らすために改善提案を行い、効率化を進め、自分なりに会社へ貢献しているつもりでした。
しかし、結果は違いました。私が働いていた会社は、最終的に閉鎖されました。
今振り返ると、会社が抱えていた問題は、現場の社員の努力で解決できる規模ではなかったのだと思います。
※この記事は、私個人の経験と見方をまとめたものです。特定の会社や個人を指すものではなく、事実関係の詳細は省いています。
当時の私の状況
当時は、長時間の残業が常態化していました。
- 残業時間:入社初期は月100時間を超える月もあり、改善後でも月80時間前後
- 収入:額面のうち、残業代が3分の1ほどを占めていた
つまり、残業代がなければ生活が成り立たない状態でした。
※月80時間を超える残業は、健康へのリスクが高いとされる水準です。
決して「普通」ではありません。
改善しても、楽にはならなかった
私は現場で、さまざまな改善に取り組みました。
- 作業の効率化
- 手順の見直し
- 無駄な作業の削減
その結果、残業時間は100時間超から80時間前後まで減りました。
現場レベルでは、大きな成果だったと思います。
しかし、会社全体の状況は変わりませんでした。
慢性的な赤字は、個人の努力で埋められない
会社は、慢性的な赤字が続いていました。
現場の社員が数十時間残業を減らしたところで、どうにかなる規模ではありません。
会社そのものが、十分な利益を生み出せなくなっていたのです。
赤字の原因は何だったのか(私が感じていたこと)
ここからは、あくまで私が見聞きした範囲での見方です。
① 品質面のミスによるやり直し
ミスが発生すると、作り直しや追加対応、顧客への対応が必要になります。
その分の利益は、簡単に失われてしまいます。
② 外部に任せた案件の失敗
外部に委託した案件で、要件の共有が不十分なまま任せきりになり、やり直しが発生しました。
結果として、同じ内容に二重三重のコストがかかっていました。
③ 利益が出る形になっていないビジネス構造
1回目の取り組みは採算が合いにくく、2回目以降で利益が出ていくビジネスでも、新しい案件ばかりを追いかけていると、利益が出にくくなります。
継続的に収益が見込める仕事が少なかったように感じていました。
④ 人手不足を短期の応援で補う体制
人手が足りなくなるたびに、短期の応援や外部の人に頼っていました。
しかし、やっと仕事を覚えた頃に契約が終わり、また一から教える。
その繰り返しでは、ノウハウが蓄積されません。
⑤ 主要な取引の減少
大きな取引が減る一方で、固定費はほぼ変わりませんでした。
これらの中でも、私は①と③の影響が特に大きかったと感じています。ただし、原因は一つではなく、重なり合っていたと考えています。
残業は「原因」ではなく「結果」だった
当時の私は、「残業が多いから、会社がおかしい」と考えていました。
今は、少し違う見方をしています。
ミスやトラブルが起きる → やり直しが発生する → 納期が遅れる → 残業で取り戻す
この流れの中で、残業は「原因」ではなく、問題を覆い隠すための応急処置になっていたのです。
作業の無駄を省けば、残業は減らせます。それ自体は意味のあることでした。
しかし、ミスが生まれる構造や、利益が出にくい仕事の進め方が変わらない限り、根本的な解決にはなりませんでした。
資金面の事情と、閉鎖
赤字が続くと、資金面の事情も厳しくなっていきます。
しばらくは周囲の支援で持ちこたえていましたが、それにも限界がありました。
最終的に、会社は閉鎖されることになりました。
社員は、それぞれ別の形で新しい環境へ移っていきました。
会社そのものはなくなりましたが、事業の一部は形を変えて続いています。
私が学んだこと
この経験から学んだのは、次のことです。
個人の努力と、会社の業績は別問題である。
私は改善活動に取り組み、残業を減らしました。それは間違いではなかったと思います。
しかし、会社の構造的な問題が大きいときには、現場の努力だけで立て直すことはできません。
終わりに
当時の私は、「もっと頑張れば、会社は良くなる」と信じていました。
今なら分かります。
会社が倒れるのは、社員一人ひとりの努力が足りなかったからではなく、利益を生み出す仕組みそのものが壊れていることが多いのです。
月100時間近く残業しながら働いていた私が、あなたに伝えたいのは、次のことです。
会社を救えなかったことを、自分の責任だと思う必要はありません。
私がやるべきだったのは、会社を救うことではなく、まず自分自身が潰れないようにすることだったのかもしれません。
今日からできる、小さな一歩
- 自分の健康を守る:残業や睡眠の状況を記録し、限界のサインを見逃さない
- 収入の構造を知る:基本給と残業代の割合を確認し、残業に頼らない生活を考えておく
- 選択肢を持っておく:すぐではなくても、スキルを蓄積し、別の働き方の情報に触れておく
- 一人で抱え込まない:つらいときは、社外の相談窓口(労働基準監督署の総合労働相談コーナーなど)や、信頼できる人に相談する
